旧日の乱れ

2022年8月4日

旧日の乱れ

*現代AU、ABO、Alpha × Alpha *俗っぽい破廉恥なネタですが、考えないでください *子を産むわけではないがまず子を産む警告をする（？） *実際にはR18の内容はあまりありません

1 レイヴンは笑顔で教務室のドアを開けたが、中にはファントムだけが座ってジュースを吸っているのを見て、積もった笑顔はすぐに消えてしまった。レイヴンはファントムの隣に座り、彼の後頭部を叩いた。“おい、また何かあったの？午後先生から何度も電話してくれたぞ。” ファントムは明らかに彼の怒りを本気にしておらず、相変わらずジュースをすすっている。“ああ、ケンカしたんだ”。 “他の生徒をいじめてたのか？” “おいおい、勘弁してよ、他の生徒をいじめると言うのはどうなんだ？” ファントムは腕の赤い痕を目に当てた。“明らかに他の生徒が僕をいじめたんです。” レイヴンはさらに怒った。“おまえはあいつに勝てなかったんだよ！恥ずかしい。” “君は何を知っている。僕はわざと見逃しているのだ “とファントムは反論した。”あいつは転校してきただけだ。あまりやりすぎると、彼と一緒に遊べなくなるぞ。” “小学校2年生で転校？” “ふーん。” “こんなに若いのに...... “レイヴンの心が回った。”ところで、おまえの先生はどこ？” “ルミナスの親を校門まで迎えに行った、あ、ルミナスってのは転校生の名前だ。この時間ならそろそろ到着するか…” その言葉に応えるかのように、突然、オフィスのドアが押し開かれた。最初にレイヴンが見たのは、ファントムと同じ年頃の子供で、きちんと学生服を着ているが、顔は大人のようにシリアス。白い髪だった......。レイヴンの心臓は急にドキドキして、鼻先に雪の降った夜の森のような冷たい香りを感じた。それは同類......アルファの匂いであった。彼は入ってきたアルファと急に目を合わせた。この人の顔を形容するなら、美人で、隙のない美人だ。見ているだけで光っているように見える程度に。明らかに男性でありながら、美しい長いまつ毛を持っていること。誰を見下ろしているとき、その目に愛情が宿っているように錯覚し、アルファという性別の攻撃性を発散させやすいのである。レイヴンは、大きな氷の塊を胃袋に飲み込んだのように震え、その場に固まってしまった。ファントムはレイヴンの異常さを感じ取り、ただ美人を見つめていると思い、そっとひじで彼にぶつかった。レイヴンは無反応だった。彼はこの男を知っていた。いや、それ以上に、この男は......元カレだったのだ。 “こんにちは。” 美人は彼に手を差し伸べた。 “ルミナスの父です。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。” そんな中、10年間も連絡を取り合っていなかった親子連れの元カレと再会してしまったなんて、世界中でこんなにひどいことがあるものか！さらにクソなのは、相手が「こんにちは、初めましてね」みたいな感じで、何事もなかったような顔をしていた。めちゃくちゃだ、なんなんだ、これは！レイヴンは怒りを飲み込んで、相手の手を揺さぶった。シロの手はまだ冷たく、骨節がはっきりしていて、記憶の中と少しも違いません。渡鴉は場違いな記憶を振り切った。”こんにちは、ファントムの父です”。ファントムは驚いて彼をちらりと見た。しかしこの子は他には言わず、空気を読むレベルは一流で、彼は物心がついて何も言わなかった。いい子だ、飼っているだけではない、肝心な時に黙っていることを知っている。渡鴉は演技を続けた。“子供の間で小騒ぎするのは普通だ。それは大丈夫だ。これから仲良くすればいい。” “そうです。”白しゃがんでルミナスを見て、“同級生と仲良くしようか？” “彼が先に私を怒らせたのです。”ルミナスは真剣に言った。レイヴンはファントムの背中をたたいた。 “え――はい、これは全て僕のせいで、ごめんなさいね！これからルミナスと仲良くします！” 今はルミナスが驚いて彼を見ている番だが、さっきまで引きずっていた同級生が突然間違いを認めたとは思わなかったかもしれない。承認が速すぎて、彼が本気なのかどうか疑いたくなった。とにかく、これが疲れた社畜の先生が最も喜んだ結果であり、両家は握手をしてせめてしばらく和解し、生徒たちはそれぞれの親につかれて帰っていったのであった。レイヴンは黙って校門まで歩き、ファントムとルミナスが喧嘩をしないようにジュースを分け始めたのを見て、突然に口を開いた。”シロ、どっちに行くんだ？”と。 “駐車場へ行きます。” “ああ、ここから遠くに住んでいるのか” “それほど遠くない。今日は研究所から車で来たんだ。” “いつ国内の研究所に戻ったんだ？” その質問を聞いた白は、意味ありげな表情を浮かべた。 “少し前に。” どうして教えてくれなかったの？その質問はできない。そのような立場がないのだ。結局、今の彼はシロにとって何者でもないのだ。シロが子供を育てるということは、シロがオメガと結んだということで、どう考えても8年前に海外で起きたはずなのに、レイヴンは何も知らない。シロと別れてからあまりに長い年月が経ち、レイヴンはシロと再び会えるとは思ってもいなかった。そもそもシロは、姿を消したのだから、こんな身近で普通の生活を送るのではなく、地上から浮遊して煙のように天に昇っていくはずだった。それに、自分とは関係のない人生。レイヴンがどんな生活をしているのか、なぜレイヴンが「子供がいる」のか、シロは驚きも関心もないようだった。レイヴンは自分が何を怒っているのか分からないが、すべて出会った以上、その場で萎縮したり、そこで妄想したりするのは決してレイヴンのやり方ではない。自分の白菜が豚にアーチされても、どの豚にアーチされているのかを知る必要がある。渡鴉はこのように執着した個性だ。直接的すぎると聞けないこともありますが、迂回する方法は採用できるものもあります。駐車場は向こうにあり、彼とファントムは彼らを送って、シロが車に乗り込むと、レイヴンが突然窓をノックしてきた。シロは窓を下げた。”何がありましたか。” “べつに。” レイヴンは車内を覗き込み、シロのネクタイを引っ張ろうと手を伸ばした。シロはすでにシートベルトを締めていたので、それを避けずに彼の手で自分の襟をこすった。首の横に暖かい息が吹きかけられたが、何事もなかったかのように、触れるだけですぐに引っ込めた。 “ネクタイが曲がっている。” “.......ありがとうございます。また後で。” 車は走り去った。ファントムはレイヴンの袖を引っ張った。 “わかってる – 今日はとてもいい演技だった、お小遣いは2倍だ。” “それに加えて、休みに海に連れて行ってくれる。” ファントムはとっくに準備して言っていた。

2 ファントムは幼い頃から感情関係のもろさを感じていたため、レイヴンの面倒な人間関係の山に巻き込まれることはあまりなかった。もちろん、交換する利益がある場合は別ですが。たとえ、レイヴンが同級生の父親に恋心を抱いていたとしても、レイヴンが彼に頼っていくつかの情報を聞かなければならないのだから、それはそれで構わないとファントムは考えていた。まあ、こんなことは少し変に聞こえるが、レイヴンは元々本当の父親ではないし、レイヴンの本心などどうでもいいのだ。レイヴンは今、人生に疑問を抱いている最中だった。シロの体にはあるべき匂いがなかった。オメガの匂いはなかった。先日も、シートベルトをしているシロの動きが悪いのを見計らって、シロの車の窓をノックし、ネクタイを正して首の後ろを嗅いだりしていた。アルファがオメガとパーマネントマークで結ばれた場合、フェロモンの匂いはオメガによって中和され、融合した匂いとなり、特に首の腺で顕著になるはずだ。ベータ女性が妊娠した例もあるが、すでに深い絆で結ばれている場合、アルファの匂いも影響を受ける。でも、シロには何の匂いもない。まだ新雪のような香りがして、嗅ぎすぎると肺が凍るような感じがするのです。 10年前とまったく変わっていなかった。しかし、ルミナスは外見上どう見てもシロの実子であり、ならば最大の可能性は……非婚子である。シロってこんなクズだったっけ？そうでなければ、レイヴンは自分が間違ったと認めざるを得ない。しかしそんなことはありえない、10年経ってもシロの匂いは脳裏に刻まれている、それはシロとやりながら首の後ろから数え切れないほど嗅いだものだった・・・・・・・。くそっ、やめろ。そんなの覚えちゃいないよ。レイヴンはため息をつき、まさにこのタイミングで携帯電話が鳴った。 “親子の日イベント......？” それは、幼稚園の頃からレイヴンが大きな面倒として捉えていたことで、その度にふと、自分はファントムの本当の父親ではないことを思い出したが、今回は、そうでなければならないのだ。しかし、レイヴンはシロが出席するかどうかが心配だった。シロは規定とかに反することをたくさんしてきた男だ。当日の朝、親や子供でごった返す教室から離れ、ファントムを早めに教室に入れ、一人廊下に身を乗り出した。タバコも吸わないし、スマホもあまり見たくないし、学校という場所でニコチンパッチを使うのは明らかに不適切なので、ファントムにペンを頼んで、左手から右手に持ち替えたり、また戻したりした。 1時間目のベルが鳴っても、シロはまだ来なかった。ルミナスは、こうなることが分かっていたかのように冷静で、ファントムの紙玉に当たるまで正座して真剣に聞いていた早熟な子だった。レイヴンはぼんやりと辺りを見回し、ふと大学時代に研究室から帰ってくるシロを何度も待ち続けたことを思い出した。くそっ、また思い出話かよ。 ......もういい。ブロックするよりもブロックしないほうがいい。レイヴンはついに時間の退屈に負け、シロとの出会いの記憶の洪水にしばらく飲み込まれた。白はアルファ阻害剤を使うようなアルファだった。オメガ阻害剤が完全に一般化した社会では、ベータに偽装して生きることも難しくはない。しかし、アルファ阻害剤はまだ非常にまれな存在です。なぜなら、大多数の人が必要ないと思っているからです。アルファの最も厄介な点は、フェロモンをあちこちにばらまき、オメガの発情を誘発する傾向があるというのが一般的な意見だそうです。しかし、オメガ阻害剤の普及後は、無秩序な発情が起こることは稀になった。アルファもオメガと同じように「ヒートフィーバー」と呼ばれる発情期がありますが、オメガほど深刻ではなく、月に数日イライラする程度で、しばらくは耐えられると思います。これは一面でしかありません。多くの人が言わないのは、人口の10％という少数派のアルファは、当然ながら容姿も肉体も生殖能力も優れており、フェロモン圧を発散できること自体がステータスであるということです。だから、これを抑える必要はない。白は何一つ気にしていない。大学時代、シロの顔に惹かれた人は何人かいたが、この冷たい性格が受け入れられず、ベータと間違えて態度が曖昧になってしまった人もいた。レイヴンは最初、光学部にアルファよりもさらにイケメンのベータがいると聞き、ふとした気まぐれで、その学部の授業を聴きに行って・・・・・・となった。そして、彼はオワッタ。ベータはどうしたのか、彼が気に入った人は、デルタでも手に入れなければならない。とはいえ、シロと初めてやったときは、やはり激しく驚かされていた。ベータにも前立腺があると考え、潤滑を持参し、気持ちよくさせようと思っていたのだ。その結果、服を半分脱がされた状態で、男をベッドに縛り付けてキスをしたレイヴンは、ふと匂いに気がついたのである。空気は彼のハーブの香りがかすかにするだけだったが、いつのまにか氷のように浸透する匂いと混ざっていた。夏だから急に涼しくなるわけがない。レイヴンが元をたどると、シロが顔をしかめて手で顔をかばっているのが見えた。 “シロ？どうしたんだ？” “すみません、阻害剤は失敗したようです。” “..........................待てよ、お前はオメガか？ “ いや、そうはずがない。普通のオメガなら、もう発情期に入っていて、フェロモンが見分けがつかないくらいに混ざっているはずだ、フェロモンの発生源がどこなのか、ここでまだ悩んではいない。白は首を横に振った。 “いいえ、私はアルファです。” “........................... ...はあ？” 白は、アルファ阻害剤を使う理由を説明したが、それは2人が終わった後のことだった。ショックを受けすぎたアルファレイヴンが一瞬の油断で、急に強くなった恋人に手を出されてしまったのだ。 …でも、シロの前戯はなかなかよくできていて、悪くなかった。レイヴンはそこに横になって自分の理性を集めている。シロはアルファの地位があまりにも気づかれ、邪魔をされないようにと、そんな簡単なことを言った。そしてヒートフィーバーは面倒だった、シロは制御不能な身体の反応を嫌ったのだ。 “そうすれば、もっと研究に力を入れることができます。” と白は言った。白は光を研究をしていた。レイヴンは、シロが何をしているのかよくわからなかったが、シロが妥協を許さない仕事人間であることは知っていた。しかし一方で、シロは自分に優しくしてくれたし、キスやハグをしたり、愛し合ったりと、マーク以外の恋人同士がすることはほとんど一緒にしてきたし、シロのことを知ってしまったのではないかと思うくらいだった。もともとレイヴンは、好奇心で試しに来たのだ。何しろ、彼が付き合っている男女は少なくない。しかし、卒業を目前にして、その後シロとどう付き合っていきたいかを真剣に考え始めると、もはや単なる欲望ではないことに気がついたのだ。これだけ成績が良ければ、シロは大学院に進学するのだろうが、レイヴン自身はまだ考えていなかった。やはりシロに相談しないと。そう思っていたら、次の日、シロが学校から姿を消した。さよならも言わずに。ただ、白が海外の博士課程に早期入学したという情報だけだった。手続きを終えて、彼は立ち去った。それくらいシンプルなもので、ドラマはまったくない。このシロという男に対して、レイヴンはどうすることもできなかった。今でも、その人を待ちきれずにいた。昼休みが近くなると、教室から親たちがどんどん出てきて、レイヴンはもうこんなに人がいるところにはいられないと悟った。アルファとオメガの強力な繁殖力により、他の場所よりも親の占める割合がやや高く、様々なフェロモンの匂いが、ただでさえ弱い腺の痛みを伴ってレイヴンの脳をかき乱すのである。レイヴンは、まだ授業中のファントムに視線を送ると、ファントムは知っている手を振って、先に行けと合図をした。鼻をかばいながら、建物の周りの人ごみをかき分けて、一足深く、一足浅く、外に出た。レモン、アルコール、ユリ、チ、いろいろな匂いが交互に頭の中で戦っていた。以前はこんなにひどくなかったのに、最近作品のために何夜か徹夜したからでしょうか？それとも、ちょっと薬の使いすぎが原因なのでしょうか？腺がおかしくなり始めたようだ。フェロモンが暴走する前に.....ここから出なければならない。人ごみから離れ、学校の入り口まで眠そうに歩いていくと、目が冴えてきて、わずかに物が見えるようになった。しかし、油断したその瞬間、突然、新雪の香りが彼を包み込んだ。レイヴン辺が気を失う前に最後に見たのは、学校の前に停まっているシロの車だった。

3 深い水面から釣り上げられたように、レイヴンは突然、呼吸ができるようになった。彼は目を開け、あぐらをかいて体を起こした。まず、首の後ろを触った。 “もう大丈夫です。鎮静剤を注射してあげましたから。” シロでした。シロはベッドに座って本を持ち、長いまつげを垂らしてレイヴンを見つめていた。聞くまでもなく、ここがシロの部屋であることは確かだった。誰かが住んでいるような空気がほとんどしないほど、きれいな状態でした。 “ありがとう。 ......親子の日に行かないの？” レイヴンはその言葉で、自分が愚かな質問をしてしまったことに気づいた。行かないなら、なぜその時間にシロが校門にいるのか。彼は自分が少し見栄っ張りであることを知っていた。話題を変えていたのだ。シロに腺のことを聞かれるのが嫌だったのだろう。少なくとも今すぐには。シロはその思いに気づかないようで、“本来は私は行くつもりだったのですが、今朝研究所で何かあって遅れました”と素直に答えた。 “昼に着いたばかりで、学校の前で倒れている貴方を見ました。まだ学校は終わってないんです。うまく回復したら、また学校にも行ってもいいです。” “今はまだ人混みには行けません。” “では、行かないでいいです。” シロが水を注ぐと、再び新雪の香りが彼を包み込んだ。シロは何も聞かなかった。自分のこと、ファントムのこと、腺のこと、シロは何も聞かなかった。鎮静剤を注射してレイヴンのフェロモン障害まで見たが、何も聞かなかっただけだ。その男は単純にバカだ。レイヴンはもう甘やかすのはやめようと思った。この謎の男と推理合戦をするのはやめて、直接にやることにした。 “シロ、もう阻害剤使わないでね” シロの視線は本から彼に移った。 “そうです。匂いがきついですか？邪魔しましたのか？” “いや、人が多すぎなければいいよ。 ……なぜ使わないの？” “必要がありませんでした。ルミナスがいると、近づいてくる人が少なくなるんです。ヒートフィーバーについては、それも克服できたので、今のところあまり影響はないです。” “そうか、なかなか良いね。ルミナスのお母さんにお会いできるのはいつになることやら？” レイヴンはしっかりとシロを睨みつけました。 “光学部の有名な美人を攻略したのは誰か、ということに興味があるんだね。“ シロはその視線を避けなかった。白い短髪は厳しそうな感じが、まつ毛がやたらと長く、それほど近寄りがたい感じはしない。 “残念ながら、見ることは不可能です。” 白は優しく言った。レイヴンはこの答えに少しも意外ではない。シロという人は、少し磨きをかけなければならない。 “オメガの匂いがしないから、オメガとのパーマネントマークはない。ベータが妊娠することはあまりないが、ベータとの深い絆があっても、アルファのフェロモンは変化してしまうのだ。でも、俺はおまえの匂いを熟知しており、それが改変されていないことを確信してる。その場合、残された可能性は、何らかの手段で匂いを変えたか、マークせずに相手に子供を産ませて捨てたクズ野郎か、くらいしかない。” “名推理ですね、レイヴンさん。” 失礼なことを言われても、まったく表情を変えず、少し興味深げにさえ見えた。 “ただし、闇市を調べたところ、フェロモンの匂いを変える薬はまだない。おまえが自分で何か奇妙で未知のものを作り出した可能性は完全に否定できないけど。 2つ目の......可能性については、ありえないと思う。” “2つ目の可能性はあなたが観察したすべてを完璧に説明することができます。なぜそんなに確信が持ていますのか。証拠はありますか。“ “ない。” レイヴンは長い息を吐いた。 “ただの直感だ。彼は突然ベッドから転がり落ち、発作を起こした男とは思えない素振りで動き、シロのシャツの襟元をつかみ、ブラッシングして引き寄せ、首の後ろの横でもう一度強く匂いを嗅ぐ。 “賭けをしているだけだ。私の知っているシロは、自分の野望のためなら何でもする、研究熱心なワーカホリックで、2年以上付き合ったボーイフレンドもすぐに捨てられるクズだ。でも、ヤリまくって子供を作るような男ではなく、クズのためのクズではなく、目標がしっかりしているクズ人間だ。” シロは耳元で、”それは貶してますか？”と聞いてきた。 “それまでもわかったのかよ” レイヴンはにやりとした。 “すみませんでした。あの時はうまく対処できず、あなたを見捨てたと思わせてしまったようです。” レイヴンは、”今さら謝罪が役に立つのか”と唸った。そして、シロのその話は、「どうせあの時は、レイヴンに相談してもしなくても、決心は変わらなかったんだろう」と、暗に言っていた。なんというか、必死ですね。レイヴンは絶望的に発見した。この人のこんなところまで彼は予想していたので、怒ることができなくなった。シロは彼の恨みなど意に介さなかった。レイヴンはその冷たい指が首の後ろに押しつけられるのを感じた。 “その前に確認したいことがあります。ファントムは貴方の実子ではないですよね？” “気づいたんのか。おまえは誰でも自分と同じ、ある時空から息子が降ってきてもおかしくないだと思ってたし。” “・・・・・・” 白はある部分を無視し、”髪も目も貴方とは違う色で、貴方にもあまり似ていません “と言った。 “彼は俺の精神を受け継いだ。精神よ、魂よ！わかるか？” “貴方のフェロモンは今のところ誰にもマークをつけられないのでは。” 肌に吹きかけるブレス。シロは首の後ろを嗅いでいた。 “ハーブの香りです。しかし、非常に不安定です......最初に会ったときは乾燥していたのに、今日は湿っぽくなっています。このままでは結ぶことができません。なぜ、こんな深刻な事態になりましたか？” レイヴンは彼に嗅がれて全身が痺れて、“それはどうしたの、おまえと何か関係があるの”とさえずった。 “今はまだです。だが、質問したいことがあります。” シロは今まで何も聞かなかったので、レイヴンにバカだと思われた。しかし、シロは自分の意志で聞こうとしたのだから、レイヴンは恐ろしいと思った。クソオス。 “再会してから、レイヴンさんが私のことをこんなに気にしているのは、まだ私のことが好きだからですか？”

シロが読んでいた本が、ドサッと床に落ちた。

レイヴンは、どうしてこんなことになったのか、よくわからなかった。明らかに直球を打つ気満々だったのが、かえって蛇行し、白に真正面から一撃を食らって少し息が切れるほどだった。しかし、レイヴンはどんな人なのだろう？レイヴンはこのままでは絶対に譲らない、シロはあえて直接に言ったら、レイヴンは直接にやる。その都合のいいポーズで、レイヴンはシロの後頭部を押さえ、正確にシロの唇を封じた。雪の味が一気に広がった。シロをベッドに引きずり込む直前、レイヴンの脳裏にちらりと疑問がよぎった。こいつはまだ、息子がどこから来たのかぜんぜん説明していない。しかし、シロが押しつけられると、レイヴンは余計なことを考えたくない。考えないで、ちゃんとシロを感じて。気持ちの中でより明確に浮かび上がってくる答えがたくさんある。アルファとアルファのフェロモンは合流せず、雪の香りが圧倒的に支配し、新雪の後のハーブの香りが時折、隙間を縫って飛び出してくるのです。シロは後ろから抱きかかえ、レイヴンはイって脱力している間に首の後ろを噛んで、まるでマークをつけるとしているようだった。それは当然不可能で、彼はただ舌を腺に走らせ、オーガズムを終えたばかりの男に再び震えを与え、かろうじて膝の上で足を安定させることができました。 “腺はとても不安定ですね。フェロモン類の薬でも使いましたか？” “こんな時間に誰がおまえに診断してもらうの......” すると、白は口をつぐんだ。冷たく懐かしい匂いが、レイヴンの鼻腔を支配し、脳を支配し、ついには外に溢れ出した。

4 オーロラ研究所。シロは白い作業着を脱いでドーアに出ると、車に寄りかかりキーを回して遊んでいるレイヴンをちらりと見た。 “そろそろ時間だ、ルミナスの学校にいくか？” とレイヴンは言った。断る理由はほとんどなかった。シロは “どうして私がここで働いていることを知っているのですか？”と聞いた。 “本州、トップの光学研究所、今年の入社リスト......簡単に調べられる。” “確かにそうです。レイヴンさんはお疲れ様でした。いい車ですね、最近は何をしているんですか？” “ちょっと......アートワークなどをしているんだ。” レイヴンの大学の専攻とは全く関係ないのだが、シロは「似合ってます」とまんざらでもない様子だった。 “なぜ俺のことを聞くの？” “いわゆる付き合いとは、お互いを思いやることだと、10年前に誰かが言っていた言葉ですから。“ “ちょっと待てよ、今は付き合うなんて約束した覚えはない。” レイヴンは「今」という言葉にアクセントをつけた。 “わかっています。こういう時は、普通なんて言うんですか？「貴方を求めている」と言うべきですかな。“ “おまえの口からそんな言葉が出るのはおかしいぞ！全然感動してないよ！” レイヴンはツッコミ。 “レイヴンさんは明らかに私のことが好きなのでおかしくなりましたよね。” “......そう堂々と言われてイラッとするよ。” 赤い信号。レイヴンは運転席にもたれ、ついに我慢できずに、今日シロを車に招き入れた当初の目的の質問をした。”それで、......ルミナスの件はどうなっているんだ？” “息子のことですか？” 白は冷静に爆雷を投げ捨てた。 “ああ、簡単に言うと、私が産んだ子です。” “........................... ...はあ？” “まあ......正確には、何しろ通常の人間の妊娠、出産というプロセスを経て生まれてきたわけではありませんから。しかし、結果を見る限り、私自分で産んだことに何の問題もないと言えるでしょう。だから、2人目からのフェロモンはないだろう、極めて合理的です。” “..........................何言ってるんだ、説明すべき部分が多くなってきたんじゃないか？” “信号が青になった。” 白は親切に促した。 “クソ！” レイヴンは不機嫌そうにガスを踏んだ。 “知りたければ、その後でゆっくりすればいいです。” 白は笑顔で言った。学校の前で口論していたファントムとルミナスは、すでに車窓から見えていた。レイヴンはまた頭が痛くなるのを感じた。あの時、彼はシロのような意地悪な性格の人間の一体何を気にしたのだろう。しかし、事態の推移は、彼の手には負えないものだった。ふん、いつか気分がよくなってから聞いてみよう。 FIN